文を敲く

読書記録とその他雑記。

2013-01-01から1年間の記事一覧

カネは余らない

かつてヒトは姥捨て山や戦場などに様々な名目で捨てられていた。「人口は幾何級数的に増加するが生活資源は算術級数的にしか増加しない(マルサス)」ためヒト(需要)の数は常に過剰となりがちで需給調整が必要だったのだ。日本では人口は減少が進行し、モ…

モラトリアム賛歌 - 「四畳半王国見聞録」

四畳半王国見聞録 (新潮文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/06/26メディア: 文庫この商品を含むブログ (31件) を見る「四畳半」に住まう京都の大学生の妄想と奇妙な生態を綴った短編集。「詭弁論部」など訳の分からない有象無象の集…

たぶん癒し系 - 「しゃばげ」

しゃばけ しゃばけシリーズ1 (新潮文庫)作者: 畠中恵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/03/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 125回この商品を含むブログ (529件) を見る本書は江戸時代を舞台にしたミステリーでもある。妖怪がいろいろ登場するが、お…

ドライアイなのかもしれない

最近太陽が眩しく感じる。気が付けば日陰ばかり歩いている。そしてディスプレイの照度を40%くらいにまで下げている。ここ最近、毎日10時間近くパソコンを触り続けているせいだろう。これはドライアイに違いない。何らかの対策をしなければならないと思いつつ…

暗い山 - 「マークスの山」

マークスの山〈上〉 (新潮文庫)作者: 高村薫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/07/28メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見るマークスの山〈下〉 (新潮文庫)作者: 高村薫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/07/28メディア: 文…

2020年の五輪

先日、2020年のオリンピックの開催地が東京に決まった。「経済効果が〜」という金の話ばかりで理念は結局よく分からなかった東京。まあ近年の五輪は資本主義の祭典になっていることを考えれば金の話ばかりでもあまり問題ないということにしておこう。もっと…

再呪術化時代を生きる - 「現代人の祈り」

現代人の祈り―呪いと祝い作者: 釈徹宗,内田樹,名越康文出版社/メーカー: サンガ発売日: 2010/07/02メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 18回この商品を含むブログ (10件) を見る現代は霊的なものへの回帰が進む再呪術化時代であるらしい。本書は現代…

溜息が出るサイエンスファンタジー - 「夜の神話」

夜の神話作者: たつみや章,かなり泰三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1993/07/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (6件) を見る夜の神話 (講談社文庫)作者: たつみや章出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/02/10メディア: 文…

キラキラネーム - 「さようなら、ギャングたち」

さようなら、ギャングたち (講談社文芸文庫)作者: 高橋源一郎,加藤典洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/04/10メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 168回この商品を含むブログ (181件) を見るキラキラネームやDQNネームと呼ばれる珍妙な名前が流行る昨今…

軽快 - 「どくとるマンボウ航海記」

どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)作者: 北杜夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1965/03/02メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 52回この商品を含むブログ (54件) を見る北杜夫が船医として世界各国を回って見聞きしたものをまとめた旅行記。かなり軽い文体…

1か月続けて書いてみて

今月は1日も休まずに記事を投稿してみたが、思いのほか面倒だった。まず書くべきネタが底をつく。あれこれネタをひねり出しながら書くため時間がかかる。気楽で無意味なネットサーフィンタイムがかなり奪われてしまった。来月からはまた書けるときだけ書くこ…

特別警報

大雨や洪水で酷い被害が見込まれる場合「特別警報」というものが出されるようになったらしい。「数十年に一度の災害」が起きる可能性が高いときに出されるという。とはいえ毎年のように最高気温の新記録が出るようなこの時代。結局のところ特別警報もボジョ…

新聞広告の傾向

伝統的に新聞広告は出版広告が多い。料金的にも優遇されていると聞く。1面、2面、3面と頁の数が少ない箇所はおおむね出版広告だ。最近は通販がやたら多い。健康食品、健康グッズ、激安掃除機、英国クック諸島発行の金貨、名画DVD、通信教育が常連だ。ターゲ…

失われたものへの憧憬 - 「ティファニーで朝食を」

ティファニーで朝食を (新潮文庫)作者: トルーマンカポーティ,Truman Capote,村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/11/27メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 63回この商品を含むブログ (103件) を見る自由奔放、そして無邪気な美女ホリー・ゴライト…

招き猫 - 「図書館ねこデューイ」

図書館ねこ デューイ ―町を幸せにしたトラねこの物語作者: ヴィッキー・マイロン,羽田詩津子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/10/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (34件) を見る日本でいえばたま駅長みたいなものか。…

私漫画 - 「失踪日記」

失踪日記作者: 吾妻ひでお出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2005/03/01メディア: コミック購入: 28人 クリック: 293回この商品を含むブログ (1146件) を見る小説では作者自身をネタにした作品が山のようにあるが、漫画になると急に少なくなる。本作…

疲れ

最近疲れがたまっている。夏の暑さのせいもあると思う。でもそれだけではないと思う。先行きの不透明感もじわじわストレスとになっている気がする。気楽な暮らしがしたいものだ。「気のもちよう」なのかもしれないが、それが出来たらこんなに悩むことは無い…

もし北方領土が四島返還されたら

国後島か択捉島のどちらかが放射性廃棄物の最終処分場になるだろう。返還時点では日本人は誰も居住していないはずだからだ。反対する理由に乏しい。なんらかの免税措置でもとらない限り、人口減少がすすむ日本で北方領土にわざわざ移り住む日本人はそう多く…

閉塞感 - 「ここは退屈迎えに来て」

ここは退屈迎えに来て作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 100回この商品を含むブログ (68件) を見る「郊外」のあるあるネタを描いた連作小説集である。ファミレスもラーメンポエムもしっかりと…

失われた美 - 「蛍川・泥の河」

蛍川・泥の河 (新潮文庫)作者: 宮本輝出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/11/30メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 66回この商品を含むブログ (65件) を見る失われた昭和の情景を美しく描いているという点では映画「Always三丁目の夕日」と共通しているが…

戦後レジームからの脱却

2006年ごろにしきりに喧伝された「戦後レジームからの脱却」であるが、あれは結局何だったのか。主たる成果は教育基本法の改正と国民投票法の制定である。今振り返ってみると、あれはあくまで「戦後民主主義からの脱却」であって「戦後レジームからの脱却」…

始終脱構築 - 「相対性コム デ ギャルソン論」

相対性コム デ ギャルソン論 ─なぜ私たちはコム デ ギャルソンを語るのか作者: 五十嵐太郎,浅子佳英,桑原茂一,柳本浩市,千葉雅也,菊田琢也,平芳裕子,小澤京子,坂牛卓,入江徹,森永邦彦,松田達,井伊あかり,永江朗,成実弘至,井上雅人,長谷川祐子,藤原徹平,本間…

知的滑稽本 - 「本にだって雄と雌があります」

本にだって雄と雌があります作者: 小田雅久仁出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/10/22メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 126回この商品を含むブログ (50件) を見るいきなり「本にだって雄と雌があります」と始まり本と本が交わって「幻書」なる本を生…

情報の鮮度 - 「大学教授が考えた 本気で「株」で1億円!」

一番売れてる株の雑誌ZAiが作った「株」入門 大学教授が考えた 本気で「株」で1億円!作者: 榊原正幸出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2010/01/29メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る「割安な時に優良株を買うべし」とい…

見合小説 - 「細雪」

細雪 (上) (新潮文庫)作者: 谷崎潤一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1955/11/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (107件) を見る細雪 (中) (新潮文庫)作者: 谷崎潤一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1955/11/01メディア: 文…

カタログ -「IKEA2014」

ポストにIKEAのカタログが投げ込まれていた。一通りページをめくってみたが、例年のカタログと並んでいる商品はあまり変わっていないような感じがする。無料で配布されているカタログだが、ジュンク堂などではクーポン付350円で販売され、アマゾンでは新古品…

俳句は難しい

朝外に出てみるとセミの死骸が転がっていたので「軒下に セミが転がる 夜明けかな」と一句詠んでみたが、何とも感慨浅いものになってしまったと思う。以前にも知人に勧められて即興で一句詠んだこともあったが、やはり評判は微妙だった。人をうならせる句と…

ジャンプとキャラクタービジネス

「ワンピース」の頻繁なCM露出はハローキティほどではないが何とも言えない感慨を持たざるを得ない。ピザを食べていたかと思えば回転寿司を食べ、また気が付けばフライドチキンを食べている。食べてばかりだ。最近は彼ら自身はまず使わないメガネのCMにも登…

コスパ人間現る

私の友人は金にうるさい。口を開けばコスパコスパである。恋愛とは無縁のコスパ人間なのだ。「今度の日曜映画観に行こう」 「映画はコスパが悪いから嫌。暇つぶしの為に1時間当たり900円は払えない」 「それならカラオケにでも」 「カラオケはひとりカラオケ…

今日も暑い

世間ではお盆が始まったようだが、私は通常通りの生活を送る。ふと列車内の中吊り広告のクリアランスの字が目に留まる。このまま永遠に秋が来なくなったら、それこそ常夏の国になってしまったらクリアランスも無くなってしまうのだろうかと暑さで蕩けた脳で…