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読書記録とその他雑記。

軽快 - 「どくとるマンボウ航海記」

どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)

どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)

北杜夫が船医として世界各国を回って見聞きしたものをまとめた旅行記。かなり軽い文体で、やたら珍妙な方向に話が脱線したり、誇大妄想が繰り広げられたりと面白い。時折、鬱気味な記述もあってその落差も興味深い。

本書のようなネタまみれの文章を書く一方で「楡家の人びと」のような重厚な小説まで書ける人はそういないと思う。これも躁鬱病の持つチカラなのか、あるいは両極端な文章を書き続けたことで躁鬱病を発症してしまったのか。