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理想は高く - 「世界共和国へ」

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書)

世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書)

現代社会を規定する資本、ネーション、国家の問題点を提示し、マルクスなどの社会主義者らの文献を批評的に紹介しながら「世界共和国」を目指す方法を探った本である。最近理想論はめっきり人気が無くなってしまったが、人は理想を捨てるべきではないと思う読後感だった。理想を追い求めることが難しくなったことが昨今の日本の閉塞感の一因だ。

本書は筆者によると「トランスクリティーク」の入門編のようなものであるらしいが、教科書風なので気軽に読める本とは言えない。あと「世界共和国」には世界市民が欠かせない。だが今には日本は自称ナショナリストばかりが元気だ。関西学院には世界市民の育成を世情に流されず頑張ってもらいたいと思う今日この頃である。