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造語力 - 「ラテン語の世界」

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)

ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)

ラテン語といえば現代では「学名」でしか使われていない「死語」と一般的には思われがちである。しかし本書はその見方を覆す。イタリア語やフランス語はもちろん英語、そして日本語にも今もなお影響を与え続けているのだという。

いまやバチカン市国でしか使われていない言語が今でも隠然たる力を持ち続ける理由が本書を読んだことでようやくわかった。造語力が優れているのだ。そうして作られた新語が英語に組み込まれて世界に広がる*1。著者は千年後もラテン語は不滅と語っているが、その考えにも納得させられる。

*1:例えば、コンピュータに欠かせない単位であるbitも語源を辿るとラテン語に行き着く