二十一世紀の「故郷」 - 「中国はここにある」
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学者として大学に籍を置く著者が久しぶりに故郷の農村を訪れ、その情景を描く。魯迅の『故郷』のような趣向である。しかし、本書に描かれた二十一世紀の中国の農村の人間模様が魯迅の描いた頃からそこまで変わっていない(貧困の情景が欧米化していない)ことには驚かずにはいらなかった。
魯迅のころと比べれば確かに中国の農村の暮らしぶりは大きく改善しているが、それでもなお問題は山積みなのである。著者は地方行政の責任者にも取材して中国共産党の恵農対策*1を丁寧に紹介している。この部分に関しては党の広報と一刀両断することもできないこともないが、切り捨てるには惜しい内容だとも思う。