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読書記録とその他雑記。

驚き -「トマト缶の黒い真実」

スーパーマーケットや輸入食料品店に山積みにして売られることが多いトマト缶。手頃な価格なのでこれまで何度か買ったことがあるが、本書はこの「手ごろな価格」のカラクリを詳らかにしたノンフィクションである。トマト缶がまさかここまで国際分業で作られているとは思わなかったので驚きの連続であった。もう以前とは同じような感覚でトマト缶を買うことはできなくなる。

「トマト缶」という一見すると地味な題材にもかかわらず、本書は異様なまでにスリリングな出来となっている。著者の取材力と構成力に感嘆するのみであった。