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語られなかった近代史 - 「線路工手の唄が聞えた」

線路工手の唄が聞えた (文春文庫)

線路工手の唄が聞えた (文春文庫)

1年ほど前に読んだ「北の無人駅から」で本書の存在を知って以来、気になっていた本である。最近古本屋で見つけてようやく読むことが出来た。

これほど夢中になって読んだノンフィクションは久しぶりだ。著者は幼少期の「三丁目の夕日」的なノスタルジーから線路工手と彼らが唄っていた「道床搗き固め音頭」について調べ始める。しかし明らかになったのはノスタルジーという言葉では到底粉飾できない日本近代化の歪な側面なのだった。

線路工手の唄は既に絶えて久しいが、本書で指摘された日本社会の問題点はいまだにしぶとく生き続けてため息が出る。