文を敲く

読書記録とその他雑記。2018年11月に「はてなダイアリー」から移転してきました。

萌芽 - 「東京漂流」

1980年代前半の日本の世相を書きとったノンフィクションである。インドを長く放浪していた著者にとって潔癖日本・コマーシャリズム日本は違和感しかなかった。著者は大衆が突如として興味を持ちだした「日本国憲法」「反核運動」「ボランティア活動」とその背景にある「絶対善」に対しての複雑な気持ち*1を綴り、サントリーの広告パロディ*2を雑誌の連載に乗せようとして「編集」させられた経緯を記す。

本書の単行本が出版されて30余年が経とうかとしている。この間、中産階級はしぼみ、それと歩調を合わせるかのように「日本国憲法」「反核運動」「ボランティア活動」も往時の勢いを失っていった。一方で潔癖症と絶対善は勢いを増し続けた。その差は一体何だったのか。

*1:この3点セットの選び方は「2ちゃんねらー」の先駆けなのではないかとも思ってしまう。彼らはこの3点セットに対して長らく積極的な攻撃を行った。

*2:本書にはそのパロディが見開きカラーで収められているが、元ネタの形式をきっちり踏襲しつつも毒を入れていて完成度が高い