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読書記録とその他雑記。

堅実 -「チベット仏教入門」

チベット仏教の入門書である。概してチベット仏教関連本は『虹の階梯』*1をはじめとして神秘性が押し出されがちである。一方、本書はチベット仏教の思想の特徴を述べるにあたってこの神秘性を押し出さず、代わりに仏教の受容史や日本の大乗系仏教との共通点などに触れる。チベットに留まらない仏教入門本になっていることが本書の魅力だ。理論と実践のバランスもよいので折に触れて再読したい一冊である。

*1:本書の補章において当該書籍および著者に対して丁寧な批判が行われている