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日本人論 -「無思想の発見」

無思想の発見 (ちくま新書)

無思想の発見 (ちくま新書)

日本人は「思想を持たない」思想を持っていると述べている本である。ここまでなら他の本でも既に飽きるほど語られてきたことだが、それゆえに「無思想」に刃向かった一向一揆キリシタンらは徹底的に弾圧されたのではないかとする著者の見解は興味深い。

安倍首相と自民党とゆかいな仲間たちが熱心に「歴史戦」を繰り広げている姿を見ていると、本書に書かれていた「謙虚な日本人」というイメージについては変質しつつあるのではないかとは思う。無思想ゆえに近隣諸国との歴史認識問題が発生していると著者は説くが、彼らは本当に無思想なのだろうか。