文を敲く

読書記録とその他雑記。

あまりもの -「余剰の時代」

先進国では需要が供給に追い付かない。物ばかりか人まで余っている。本書はこの「余剰」についての分析と解決法の検討している本である。ケインズの議論やルソーなどの西洋近代思想を振り返り、その部分的解決案としての「リバタリアニズム」の紹介までを新書一冊にまとめている。

人文系の議論と社会科学系の議論を融合させる手腕は流石である。著者は「余剰」問題の困難さをよく分かっているため解決法は何も書いていない。ただし、この余剰社会を生き抜くためのヒントは書いている。癖のある文章ではあるが、知的好奇心を刺激するので眠くなることはないだろう。