文を敲く

読書記録とその他雑記。

余は如何にして社会主義者となりしか - 「寒村自伝 上巻」

日本共産党日本社会党の創設にも関わった筋金入りの社会主義者の自伝である。三国干渉の臥薪嘗胆に燃えていた青年が如何にして社会主義者となり、幸徳秋水堺利彦田中正造大杉栄らとの関係を振り返る。

以前新しい左翼入門という本を読んでいたので本書で書かれた出来事についてはおおむね知っていたが、それでも当事者が語る生々しい記述があるため読んでいて飽きない。漢詩を文中でごく自然に引用している古風な文体だが意外に読みやすい。

日本史の授業に退屈している受験生にもおすすめである。もっとも本書は品切重版未定なので図書館か古書店で探すしかないのが玉に瑕だが。