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読書記録とその他雑記。

豊かさ - 「ダンス・ダンス・ダンス」

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

本書は「羊をめぐる冒険」の続編だ。前作では会社の経営に携わっていた主人公だが、今作ではフリーライターになっていた。北海道の「いるかホテル」を再訪したり、若い少女を連れてハワイへと旅行をしたりと傍から見たらかなり気ままな生活を送っている。まさにリクルートが提唱していた「フリーター」暮らしそのものだ。

本書で一番有名なフレーズはおそらく「文化的雪かき」だろう。このほかにも高度資本主義社会への違和感が随所で表明されていることが印象に残る。この手の違和感の表明はいまや経済成長至上主義者たちが徹底的に批判して「いいね」が集まるような時代となってしまった。言論面では貧しい社会になりつつあることは確かだ。