文を敲く

読書記録とその他雑記。

王道 - 「屍者の帝国」

屍者の帝国

屍者の帝国

伊藤計劃が書き残した草稿を友人の円城塔が完成させたスチームパンクSF小説である。円城塔といえば一般読者には理解し難い小説が少なくないが、本作はエンターテイメント要素が多分に詰め込まれているので読みやすい部類ではあると思う。

とはいえ奇想天外な理論の開陳やら説明が苦手な人にとってはつらくなる箇所も少なくないかもしれない。あらかじめ本作の参考文献として挙げられている「ヴィクトリア朝時代のインターネット」を読んでおいてもいいだろう。以前立ち読みしたことがあるが、着目点が卓抜なので印象に残っている。