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読書記録とその他雑記。

呪縛からの解放 - 「ペナック先生の愉快な読書法」

ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条

ペナック先生の愉快な読書法―読者の権利10ヶ条

子供のころから「本を読みなさい」と言われ続けて読むのが嫌になった人は少なくない。またネットを見回してみても本を読むことの必要性がライフハックブログや書評ブログではかまびすしく喧伝される。私たちは絶えず「本を読まなければならない」という圧力にさらされている。

本書もその種の本かと思っていたが大間違いだった。何しろ「読書と引き換えに何も求めないこと」をすすめているのだ。あくまでも楽しめばよいのだ。ビジネス書や自己啓発本は読書を「成功」や「成長」の手段として扱いがちだ。確かにそのような読み方もあるが、手段としてだけ読むのはもったいないのではという思いを強くした。

本書は評論でもないし小説でもない。あえていえば切れ味が鋭い「断章」の集積といったところか。フランス版「奇跡の教室」といえるかもしれない。