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読書記録とその他雑記。

ある一家の没落 - 「楡家の人びと」

楡家の人びと 第1部 (新潮文庫 き 4-57)

楡家の人びと 第1部 (新潮文庫 き 4-57)

楡家の人びと 第2部 (新潮文庫 き 4-58)

楡家の人びと 第2部 (新潮文庫 き 4-58)

楡家の人びと 第3部 (新潮文庫 き 4-59)

楡家の人びと 第3部 (新潮文庫 き 4-59)

三島由紀夫が「戦後に書かれたもつとも重要な小説の一つ」と称賛した作品だ。東京に実在した精神病院の繁栄から衰亡までを描いた大河小説である。政略結婚と許されぬ恋愛、震災、死への不安、そして戦争と登場人物は終始時代に翻弄され続ける。登場人物の奇天烈な言動と細部の描写が面白く興味深い。

小説の舞台となっている時代は現在公開されている宮崎駿の「風立ちぬ」とほぼ同一だから、本書を読めば映画の内容理解がより深まる気もする。