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読書記録とその他雑記。

情念 -「照柿(上)」

照柿〈上〉 (新潮文庫)

照柿〈上〉 (新潮文庫)

主人公の刑事はふとしたことから幼馴染と出会う。その幼馴染の傍にいたのは主人公が一目ぼれした女(過失致死で逮捕された夫あり)だった。三角関係を軸に物語は展開する。日本経済新聞が著者に連載小説を依頼したのも何となく分かる気がする不倫劇である。

ベアリング工場の綿密な描写はこちらにまでその熱気が伝わって来るかのような感覚を覚える。主人公は両津勘吉のような無茶もするが、ギャグや軽々しさは一切抜きである。内容は重いが抜群に面白いのでいつの間にか上巻は読み終えてしまった。