文を敲く

読書記録とその他雑記。

来るべき日 - 「母の遺産 - 新聞小説(下) 」

母が死に、夫の浮気を知った主人公は傷心を癒すため箱根のホテルに長逗留する。もちろん事件も発生する。

下巻では何度となく「ボヴァリー夫人」についての話題が取り上げられている。最近、新潮文庫から新訳が発売されたらしいので読んでみたいが、立て続けに小説を読むだけの余裕が最近もてなくなっている。身辺がもう少し落ち着いてきたら読みたいところだ。

主人公の母を筆頭に、登場人物の過半はスノッブだ。より明確に表現すれば古き良きスノッブである。スノッブが文学の主題から滑り落ちて久しい*1。現代的でありながらも古典的であるのが本書の魅力であるとも思う。

*1:そもそも文学自体が終わっているという議論もあるが