文を敲く

読書記録とその他雑記。

作中作 -「オラクル・ナイト」

現代アメリカ文学の中でもとりわけ人気作家となっているオースターの近作。それほどページ数があるわけでもないにもかかわらず濃密だ。まず、作中作に引き込まれてしまうのである。そして作中作がまさかの展開を迎えたところで宙吊りにさせるのだ。かなり凝った構成である。普段小説をあまり読まない人には読みづらいかもしれない。

1980年代のニューヨークが舞台なので、そこはかとないノスタルジアも感じずにはいられない。21世紀のニューヨークが舞台だったら物語自体が成立しない気もした。