近代は終わったけれども - 「ヨーロッパ「近代」の終焉」
- 作者: 山本雅男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/02/17
- メディア: 新書
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なお本書はソ連が崩壊して間もない1992年2月に刊行されている。東欧の民主化やソ連崩壊でまだ多幸感があったものの、湾岸戦争で新たな不安の種が蒔かれはじめた頃合である。民族対立や環境問題への言及もあるがおおむね楽観的な記述*1が続く。本書が刊行された時点ではユーゴスラビアの内戦は始まったばかりで、アルカイダもまだ無名に等しい組織だった。
「近代」は人間を行き着くところまで傲慢にした。その傲慢さがアウシュビッツの悲劇や環境破壊を招いたのだ。しかし日本では再び「傲慢」が大手を振るって歩きだそうとしているような有様だ。90年代はまだ傲慢な漫画家でも「ゴーマンかましてよかですか」と許諾を求めなければいけなかった。
*1:のように今では見えてしまう