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読書記録とその他雑記。

商い - 「花のれん」

花のれん (新潮文庫)

花のれん (新潮文庫)

商売下手な夫に先立たれた妻が死に物狂いで商売に精を出し、関西一の寄席経営者になるまでを描いた物語である。本書の主人公は典型的な大阪商人として描かれていて、大阪の泥臭い商いを知るにはよい取っ掛かりになるだろう。

もっとも古くから大阪は商人の町といわれきたが、この主人公の夫のように道楽で没落する者や一発逆転の大勝負で大損する者も少なくない。健全な競争市場ではあるが浮き沈みが激しい。