「人生で大切なことはすべて〇〇で学んだ」系書籍の一覧
ベストセラーの2匹目のドジョウを狙った安直なタイトルがつけられた本は少なくない。「もしドラ」がベストセラーになった時も「もし〇〇が○○したなら」というタイトルの書籍が相次いで出版された。
しかし1990年に出版された「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ (河出文庫)」(文庫版は1996年出版)にあやかった「人生で大切なことはすべて〇〇で学んだ」に関しては、もはや2匹目のドジョウの域を超えある種の様式美になりつつあるような気がする。最近よく見かけるのでどれだけ出版されているのかアマゾンやNDL-OPAC、NDLサーチで調べた次第だ(順不同)。それにしても多い。
- フレドリカ・ホーストマン「映画に必要なことはすべてベトナムの戦場で学んだ」メディアファクトリー 1993
- 堀井憲一郎「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」双葉社 1998
- ロバート・フルガム「愛について必要な知恵はすべて幼稚園で学んだ」DHC 1998
- 中島孝志「人生で大事なことはすべて20代の読書で学んだ」こう書房 1998
- ルース・ライクル「大切なことはすべて食卓で学んだ」ティビーエス・ブリタニカ 1999
- 生田哲 「人生で大事なことは聖書がすべて教えてくれる」成甲書房 2001
- 森口朗「大切なことはみんな芸能界が教えてくれる」扶桑社 2001
- 香取貴信「社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった」こう書房 2002
- ラリー・ラング「人生で大事なことはビートルズからすべて教わった」青春出版社 2002
- 香取貴信「社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった<2> 熱い気持ち編」こう書房 2004
- 黒木靖夫「大事なことはすべて盛田昭夫が教えてくれた」ベストセラーズ 1999
- 坂聖夫「人生で大切なことはすべて自衛隊が教えてくれた」イースト・プレス 2004
- 高橋敏夫「人生のことは、小説が教えてくれた」中経出版 2004
- 加賀屋克美「働くことの喜びはみんなディズニーストアで教わった」こう書房 2005
- 白石康次郎「人生で大切なことは海の上で学んだ」大和書房 2006
- 童門冬二「人生で必要なことはすべて落語で学んだ」PHP研究所 2006
- 佐藤公明「人生でいちばん大切なことはマーケティングで学べる」新風舎 2007
- 童門冬二「人生で大切なことはすべて映画で学んだ」PHP研究所 2007
- 童門冬二「人生の歩き方はすべて旅から学んだ」PHP研究所 2007
- 宮子あずさ「人生に必要なことはぜんぶ看護に学んだ」医学書院 2007
- 片山修「大切なことはすべてクレドーが教えてくれた」PHP研究所 2007
- 渡邉美樹「大切なことは糸ばあちゃんに教わった」中経出版 2007
- ジェフリー・フォックス「ビジネスで必要なことはみんなディナー・テーブルで学んだ」徳間書店 2009
- 齊藤正明「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」毎日コミュニケーションズ 2009
- 山崎武也「人生に必要なことはすべて茶席に学んだ」講談社 2009
- 神山典士「人生の大切なことはすべて雀鬼に学んだ」竹書房 2009
- 横山泰行「人生で必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた。」イースト・プレス 2009
- 辻野晃一郎「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」新潮社 2010
- 岡田博紀「ビジネスで大切なことはみんなレストランで教わった」大和書房 2010
- 市川善彦「リーダーとして必要なことはすべて坂本龍馬から学んだ」アスカビジネスカレッジ 2010
- 原マサヒコ「人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた」経済界 2010
- 東国原英夫「人生で大切なことはすべてマラソンで学んだ!」晋遊舎 2010
- 櫻井武志「人生で大切なことはぜんぶ家づくりが教えてくれた」日本建築出版社 2010
- 市村よしなり「人生で大切なことはみんなRPGから教わった」バジリコ 2010
- 吉田正樹「人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ」キネマ旬報社 2010
- 末盛千枝子「人生に大切なことはすべて絵本から教わった」現代企画室 2010
- 足達大和「大切なことは、みんなナポレオン・ヒルが教えてくれた」きこ書房 2010
- 渡邉昌俊「人材活用に大事なことはすべて少年野球から教わった」雷鳥社 2010
- アロン・ゴールドマン「ビジネスで大切なことはすべてGoogleが教えてくれる」日本実業出版社 2011
- 藤屋伸二「ビジネスで大切なことは、すべてドラッカーが教えてくれた」中経出版 2011
- 千田琢哉「人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。」日本実業出版社 2011
- ラサール石井, 巽尚之「人生で大切なことは手塚治虫が教えてくれた」PHP研究所 2011
- 安達奈緒子「大切なことはすべて君が教えてくれた」扶桑社 2011
- 岡田朝雄「人生で大切なことはすべてヘッセが教えてくれた」佼成出版社 2012
- 富増章成「人生で大切なことはすべて哲学と彼女が教えてくれた。」中経出版 2012
- 鴨頭嘉人「人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった」新潮社 2012
- 柳沢有紀夫「子育てに必要なことはすべてアニメのパパに教わった」中経出版 2012
- ドミニック・ローホー「人生で大切なことは雨が教えてくれた」幻冬舎 2012
- 田幸和歌子「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」太田出版 2012
- 酒巻久「リーダーにとって大切なことは、すべて課長時代に学べる」朝日新聞出版 2012
- 名越 康文「人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ」ひよこファイターmusic 2012
- 成重寿, 入江泉 「大切なことはすべて中学英語が教えてくれる 英単語編 (BASIC 1000)」Jリサーチ出版 2013
- 山田暢彦 「大切なことはすべて中学英語が教えてくれる 英会話編」Jリサーチ出版 2013
- 清水健一郎「社会人として大切なことはすべてリッツ・カールトンで学んだ」彩図社 2013
- 末盛千枝子「人生に大切なことはすべて絵本から教わった 2」現代企画室 2013
- 関章二「商売のポイントは、すべてディズニーに学んだ」ファーストプレス 2013
- 康熙奉 「人生の大切なことは韓流ドラマが教えてくれた」実業之日本社 2013
- 村上純「人生で大切なことはラーメン二郎に学んだ」光文社 2013
- 押井守「仕事に必要なことはすべて映画で学べる」日経BP社 2013
- 河合英次「人生で大切なことは倫理の教科書に書いてあった」宝島社 2013
- 桜井優徳「リーダーに必要なことはすべて「オーケストラ」で学んだ」日本実業出版社 2013
- 西部謙司「サッカーで大事なことは、すべてゲームの中にある」出版芸術社 2013
- 立川談慶「大事なことはすべて立川談志に教わった」ベストセラーズ 2013
- 末松孝治「人生で大切なことはすべて家庭科で学べる」文芸社 2014
- 吉川圭三「ヒット番組に必要なことはすべて映画に学んだ」文藝春秋 2014
- 大槻ケンヂ, 山口敏太郎「人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた」KADOKAWA 2015
- 山本良一 「大切なことはみんな保育園で学ぶ」フォーラム・A 2015
- 北 健一郎「サッカーで大事なことは全てフットサルで学んだ」ガイドワークス 2015
- 辻正司「人生で大切なことはみんな「寅さん」に教わった」講談社 2015
- 長尾一洋「仕事で大切なことは孫子の兵法がぜんぶ教えてくれる」KADOKAWA 2015
- 中島薫「人生で大切なことはいつも超一流の人たちから学んだ」サンマーク出版 2015
- MH×ビジネス研究会「仕事で大切なことはモンスターハンターが教えてくれた」すばる舎リンケージ 2015
- 沢野ひとし「人生のことはすべて山に学んだ」海竜社 2015
- 光岡知足「大切なことはすべて腸内細菌から学んできた」サンダーアールラボ 2015
- 横田真由子「本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる」クロスメディア・パブリッシング 2016
- 有川真由美「人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた」幻冬舎 2016
- 山岡歳雄「山岡流経営学の真髄はすべてドラッカーから学んだ」万来舎 2016
- 野中根太郎「人生で大切なことはすべてスラムダンクが教えてくれた」アイバス出版 2017
- 松井政就「大事なことはみんな女が教えてくれた」PHP研究所 2017
- 戸部田誠「人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった」文藝春秋 2017
- 七田厚「大切なことは、みな子供たちから学んだ」眞人堂 2017
- 藤山邦子「ビジネスで大切なことはすべて小学校までに学んでいます」ワニ・プラス 2018
- 上神田梅雄「人生で大切なことは、すべて厨房で学んだ」現代書林 2018
- 横田真由子「本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる」クロスメディア・パブリッシング 2019
- 栗下直也「人生で大切なことは泥酔に学んだ」左右社 2019
- 山極寿一「人生で大事なことはみんなゴリラから教わった」家の光協会 2020
(最終更新:2021年1月11日)
考察
これらの書籍のタイトルをすべて真であると仮定した場合、大切なことは身近な場所や身近な経験から学べる可能性が高いが、教師や両親は大切なことを教えてくれる可能性が極めて少ないといえるだろう。
また「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」のような、自覚的なパロディタイトルの書籍が思いの他少ない。やはりこれらの書籍のほとんどが読者に夢と目標を売る自己啓発書だからなのだろう。よくできたパロディは幻想を打ち砕いてしまう。
童門冬二は「人生で必要なことはすべて落語で学んだ」「人生で大切なことはすべて映画で学んだ」「人生の歩き方はすべて旅から学んだ」と三冊も出版している。微妙にタイトルが異なっているのが心憎い。