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読書記録とその他雑記。

口論に負けないために - 「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」

東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ (ちくま文庫)

東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ (ちくま文庫)

私は普段あまり意見を述べることは無い。自分の考えが少数意見であることを自覚し、「それでも貴様は日本人か」といった支離滅裂な同調圧力の前に屈服してしまっているからだ。いわゆる「沈黙の螺旋」というものだ。まず自分自身の「違和感」を明確な「意見」という形に変え、更に多数意見の問題点を丁寧に指摘しなければ理解を得られることは無い。だがその作業は一見して簡単なようで慣れていなければ大変だ。悩ましい。

そんな悩みに一筋の光明を照らしてくれるのが本書だ。言葉の暴力に負けないための方法を学ぶため、著者はフェミニストの大家である上野千鶴子のゼミに参加する。それもタレント業との二足のわらじで。只者ではないと思う。世間には高学歴をウリにする芸人やタレントもいる。だが博識を披露するのではなく「議論の技法」を生かして活躍するタレントは著者位なのではないだろうかとも感じた。