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読書記録とその他雑記。

定住の困難さ - 「山に生きる人びと」

山に生きる人びと (河出文庫)

山に生きる人びと (河出文庫)

かつて日本には人里から隔絶された山地に住む人々がいた。なぜ山に生きるのか。どのように生計を立てているのか。彼らはどこからきたのか。あまり知られていない山に生きる人びとの実態に迫ったる民俗学の本である。鉄山師や焼畑を行う人々についての記述もあり「もののけ姫」や「かぐや姫の物語」をより深く理解する手掛かりにもなる一冊だと言える。

時代が下るにつれ山の特産品はマスプロ製品に淘汰されていき、山から人の営みは消えていった。本書が執筆されたのは山の営みが開発の波に消えてしまう直前に書かれたものだ。さて、今後何かがあった時「山に生きる」という選択肢を選び取ることが出来るだろうか。