文を敲く

読書記録とその他雑記。

メタファーとしてのあしか - 「カンガルー日和」

カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

村上春樹の初期短編集。シュールな作品や実験的な作品が多いが、気軽に読めて面白い。とりわけ個人的に好みなのが「あしか祭り」だ。ある日「僕」のところにあしかが突然押しかけてくる。そしてあしかレトリックを使ってあしか祭りへの「精神的御援助」を求めてくる。そしてあしかに「精神的御援助」をした「僕」の手元にはあしか会報と「メタファーとしてのあしか」と書かれたあしかワッペンが残されるという短い話だ。

あしか」は何のメタファーなのかは考えるまでもないのかもしれない。世の中には「あしか」のような人間がごまんといるからだ。この間の選挙でもあしかに捕まってしまった人は少なくないはずだ。もちろんウェブも例外ではない。ジミー・ウェールズを筆頭に大小さまざまなあしかが生息しているからだ。