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読書記録とその他雑記。

黄昏 - 「33年後のなんとなく、クリスタル」

著者のデビュー作である「なんとなく、クリスタル(以下、もとクリ)」の続編が出るとはまさか思っていなかった。もっとも、続編とはいえ主人公は「もとクリ」を執筆した「ヤスオ」に代わっていて、もとクリの主人公は「ヤスオ」の知人として登場しているので要注意だ。

登場人物たちは相変わらず世間離れした生活を送ってはいる。とはいえ同じ世間離れでも水村美苗氏のそれとは微妙に異なっているところは興味深い。世代の問題なのだろうか。それとも生活環境の違いか。主人公らは「黄昏」とはいってはいるものの、まだまだ深夜まで遊び倒すつもりではないのかとも思う。

もちろん「註」は「もとクリ」の頃から変わらぬ面白さだ。「註」こそが本書の醍醐味といってもいい。