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読書記録とその他雑記。

栄えてはいるものの -「ぐにゃり東京」

ぐにゃり東京―アンダークラスの漂流地図

ぐにゃり東京―アンダークラスの漂流地図

東京都心は「エグゼクティブ」や「エスタブリッシュメント」に最適化されている都市だ。再開発を繰り返し、夜はテーマパークの様に電飾が輝く。「安全」で「安心」な街*1なのだろうが、「アンダー」を自称する著者は「怪物」だと指摘する。本書はこの「怪物」ともいえる都市での労働を綴ったルポタージュである。

著者は同僚たちと冗談を飛ばしながら仕事に励んでいる。この冗談がなかなか面白い。著者は「アンダー」とはいえ本を出せる知的階層であり相当な文化資本を持っているからこそ何とかなっている面もあるのだろうとふと思った。

*1:「エグゼクティブ」や「エスタブリッシュメント」にとって、という留保を省略してはいけない