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読書記録とその他雑記。

自己啓発の現在 -「日常に侵入する自己啓発」

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ

以前に著者が出した「自己啓発の時代」の続編的な位置づけとなる学術書である。本書では「自己啓発本的な考え方」が「手帳術」や「片付け」という形で日常世界に静かに広まっていることを明らかにしている。また質問紙調査やインタビューなどを通じて「自己啓発の受容」の分析も行われている。

中でも、自己啓発書の読者へのインタビュー内容とその分析がとりわけ興味深かった。インタビューの結果、「今の自分が正しいか」確かめるために自己啓発書を読む人が少なくないことが明らかになったそうだ。「自分を変える」ために読む人が多いと思っていたので意外だった。

本書だけでも十分に知的好奇心は満たされると思うが、できれば「自己啓発の時代」と併せて読んだ方が良い。