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読書記録とその他雑記。

離れ業 -「チェルノブイリの祈り」

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリ原発での事故によって人生を変えられてしまった人々の「話」を集めたインタビュー集である。わかりやすい筋書き*1に回収されてしまうことをやんわりと拒みつつも、巧みな構成で読者を揺さぶる。離れ業だ。ノーベル文学賞を受賞するのも納得の出来である。

読んでいると無力感と脱力感に交互に襲われて沈鬱な気分になる。愉しんで読むような本ではないため仕方のないことではある。しかし、本書のような本を読むことが読書の醍醐味であると改めて思う次第だった。

*1:日本での例を挙げれば「復興が進む被災地」「原発反対」といったところだろうか