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石門入門 -「石田梅岩」

石田梅岩 (未来への歴史)

石田梅岩 (未来への歴史)

町人の生き方を説いた江戸時代の思想家・石田梅岩の人生とその考えを辿る本である。本書ではこの思想家の逸話も色々と収められているが「修身の優等生*1」としか形容しようがないものが少なくない。

石田梅岩は思想家になる前は奉公に出された商人だった。そのため、石門心学と呼ばれる彼の思想はまず町人の間で受け入れられたという。松下幸之助稲盛和夫のごとく慕われていたのだろう。

ウィキペディアや他のウェブサイトには石田梅岩の講義について「当初は男子のみを対象としていたが、聴講を望む婦女子多く、障子越しの別室にて拝聴を許された」と書かれているが、本書によれば初回から男性でも女性でも歓迎していたそうだ。ウィキペディアが誤っている可能性が高いが、残念ながら本書にも出典が無いため私には検証不可能である。

*1:もっとも、二宮金次郎と「キャラ被り」してしまうため戦前の修身の教科書ではあまり取り上げられなかったようだ(参考:文部科学省「日本の成長と教育」 2016年2月9日参照