文を敲く

読書記録とその他雑記。

著者の心酔 - 「ハングルの誕生」

ハングルの誕生 音から文字を創る (平凡社新書 523)

ハングルの誕生 音から文字を創る (平凡社新書 523)

世界で使われている主要な文字の大半は誰が作ったのかは定かではない。しかしハングルは別だ。朝鮮王朝の世宗が臣下に命じて西暦14666年に公布した「新しい文字」だからだ。

本書はこのハングル誕生の背景からその仕組みまで紹介したものである。仮名や漢字との比較も充実しているのでハングルと他の文字との違いもよく分かる。そしてハングルの設計思想に感心するだけではなく「文字」「言語」そのものへの思考も広がっていく。

著者がハングルに完全に惚れ込んでいることがありありと分かる文章で書かれており、さながらさかなクンが魚の話をするような印象を受ける。新書にもかかわらず文献案内や年表、索引まで付いている。著者が「熱い」だけではなく中身も「厚い」一冊である。