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読書記録とその他雑記。

戦争反対 -「風の影(下)」

風の影 (下) (集英社文庫)

風の影 (下) (集英社文庫)

戦争に記憶はないし、誰もあえて戦争を理解しようとはしない。そのうちに、何が起こったのか伝える声が消滅し、わたしたち自身も、戦争というものを認識できなくなるときがやってきます。すると戦争は、顔を変え、名前を変えてもどってきて、後ろに残してきたものをむさぼり食うのです。
―サフォン「風の影(下)」p.327

本書の舞台設定は「フランコ政権下スペイン」である。だからこそ敵は「純粋な敵」として描くことが出来るともいえる。下巻では主人公が追っていた著者の恋愛物語がついに明らかになるのだが、古典的な破たんをしていてちょっと驚いた。