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読書記録とその他雑記。

迫真 - 「照柿(下)」

照柿〈下〉 (新潮文庫)

照柿〈下〉 (新潮文庫)

犯行から逃走に至るまでの犯人の精神の混乱が恐ろしく細やかに書かれていて、まるで読者の私が犯人になったかのような感覚を覚えた。私も何かの間違いで罪を犯したらこの犯人のように支離滅裂な感じになってしまうのではないかと少し恐ろしさを感じる。

また、本書の舞台となった場所の中には個人的に親しんだ場所もあったので、情景がありありと想像できた。具体的な住所まで書かれている訳ではないが、記載された内容からはその場所以外は思い浮かばなかったのだ。