文を敲く

読書記録とその他雑記。

隔世 -「趣味人の日曜日」

趣味人の日曜日 (講談社現代新書)

趣味人の日曜日 (講談社現代新書)

サラリーマン向け「趣味指南書」に見せかけた著者の文人趣味披露エッセイである。一度サラリーマンになってしまえば定年まで安泰と信じられていた時代に書かれたものなので、文面からはそこはかとない多幸感が始終感じられる。景気も終身雇用も介護も崩壊するとはほとんど誰も予想していなかったのだから当然ともいえる。本書を読むだけでもノスタルジーに浸れる人もいるだろう。

「江戸時代の随筆を読む」「怪談を読む」「金魚を飼う」「江戸の名残を探る」など本書で挙げられた著者の趣味は大変風流だ。しかも文人趣味なのであまりお金もかからない。文献情報が豊富なので個人的には今後読む本のブックガイド代わりに使いたいと感じた。