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老獪 - 「四人組がいた」

四人組がいた。

四人組がいた。

重厚長大」という言葉が似合う作品群を持つ著者としては極めて珍しい連作短編小説である。いつもと変わらない渋い文章と現状認識だが、時事ネタをちょくちょく挟んでいて面白い。ああ7年前ぐらいにそんな話題があったなとふと思い出す。

本書の主人公たち四人組はそれこそ「老獪」の一言に尽きる。マスコミに叩かれやすいタイプだがどこ吹く風の昔の自民党政治家的な人々だ。同じく中高年層を主人公にしたユーモア小説の「三匹のおっさん」には老獪さがほとんど無かったのとは対照的だ。人物造形ひとつでも著者の持ち味でここまで違いが出るのだろう。