文を敲く

読書記録とその他雑記。

スタンダード -「火花」

火花

火花

私が読んだのは「文藝春秋」9月号に掲載されたものである。内容については芥川賞の「選評」でも指摘されていた通りのスタンダードな青春小説だ。芸人たちを報じるニュースに寄せられる「ネットの声」を作中にうまく織り込んでいたのが印象に残った。

主人公の「師匠」は結末近くで奇怪な選択を行う。その選択は違和感を覚えざるを得ないものだが、テレビを見ているとこの「師匠」のようになってしまっている大御所芸人は少なくないと感じる。テレビ上で繰り広げられる退屈な喜劇は当面続きそうだから哀しい。