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読書記録とその他雑記。

牧歌的な -「1980 アイコ十六歳」

1980アイコ十六歳 (河出文庫)

1980アイコ十六歳 (河出文庫)

1980年を生きる女子高生の日々を綴った小説である。主人公のアイコは自分の意見を友人でも教師でも臆さず述べる闊達な面を持ちつつも、恋や人間関係などに悩む女子高生なので読者としてはたいへん共感しやすい。1980年代初頭にリアルタイムで書かれたものなので当時の雰囲気が色濃く文章に映し出されているところも良い。

作中ではいろいろ事件は起きるが、おおむね牧歌的な雰囲気が続く。とはいってもラノベやアニメの「日常系*1」とは明らかに異なる。日常系のキャラクターはあれこれ悩まないのである。過去だから牧歌的なのか、舞台が中部地方だからなのか。

*1:実態は年中行事系なのではないかとも思うこともある