起源を追う - 「建築史的モンダイ」

建築史的モンダイ (ちくま新書)

著者は近代建築の専門家として知られているが、本書では近代建築そのものについてはほとんど語られていない。建築はそもそもどこから生まれてきたのか、またアジアとヨーロッパの建材の違い、「準防火建築*1」という日本独特の木造建築についての論考などが収められている。私は「準防火建築」誕生の経緯に有名な建築家が携わっていたとは知らなかったので興味深く読めた。

複数の雑誌で連載していたコラムから選りすぐって書下ろしを少し追加した本なので、ちょっとした空き時間にも手軽に読むことができる。体系的に何らかの知識を得たいという人には向いてないが、「住む」「建てる」といったことについて考えてみたい人にはよいヒントになるだろう。

*1:もっとも、準防火建築の黎明期に生まれた「看板建築」という様式は著者の独壇場といっても良い分野ではある