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読書記録とその他雑記。

昭和のキザ - 「再び女たちよ!」

再び女たちよ! (新潮文庫)

再び女たちよ! (新潮文庫)

「ヨーロッパ退屈日記」が面白かったので再び伊丹十三のエッセイを手に取る。どれもキザで趣向を凝らした文章である。しかもオチのつけ方がうまい。これだけ良く出来たオチのある文章はネットでは滅多と見かけることが出来ない。だいたい間延びするか尻切れトンボになってしまうのである。

「薯焼酎」と題されたエッセイで著者は「さつま白波」を飲みながら薩摩焼酎の薀蓄を披露する。そして惜しい欠点として「どこにでも売っているものじゃない」とまず挙げている。今ではどこでも気軽に買える「さつま白波」だが、当時は鹿児島の外では入手困難だったのだ。この40年で日本の酒の嗜好が大きく変化したことがよく分かる。