文を敲く

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もし昭和天皇が退位していたら

第二次世界大戦での敗戦後、昭和天皇は退位することによって戦争責任を取ることを考えていたらしい。結局実現はしなかったが、もし実現していたらどうなっていただろう。少なくとも改元はされていたはずだ。

ウィキペディアによれば日本の元号は縁起の良い意味を持つ字の組み合わせを採用しているため、これまで採用された字はわずか72字しかないという。また年号で使われている漢字の種類というページによると最も使われた漢字は「永」の29回、次いで「元」「天」の 27回となっている。今回はこれまで使われた字を使って「あったかもしれない元号」を考えてみたい。

まず大正から改元された際の候補を見ておこう。このときには「昭和」のほかに「神化」「元化」「同和」「継明」「順明」「明保」「寛安」「元安」があったという。天皇人間宣言を考えると「神化」はまず除外せざるを得ない。実際に使うなら「同和」が良さそうだ。ただ同和にすると部落差別問題を同和問題と言い換えることが出来なくなってしまうという課題がある。

日本国憲法にちなんだ改元なら「平和」「永平」が妥当といえる。ただ「平和32年」というのはいくらか能天気な感じがする。能天気さを排除するなら日米安全保障条約にちなんで「安保」とするのが良いだろう。新聞やカレンダーの日付を目にするたびに日米安保を思い出すという仕掛けである。後世から見てもどのような時代であったか一目瞭然であるという利点もあるので、個人的にはお気に入りの改元案である。