文を敲く

読書記録とその他雑記。2018年11月に「はてなダイアリー」から移転してきました。

因縁 - 「優駿」

優駿〈上〉 (新潮文庫)

優駿〈上〉 (新潮文庫)

優駿〈下〉 (新潮文庫)

優駿〈下〉 (新潮文庫)

宮本輝の小説は渋い。同時期にデビューした村上春樹村上龍と比べるとその差は際立っていると思う。おそらく登場人物の多くが悩みや葛藤、悔いを抱いていること、派手な活劇が無いことが関係していると思う。

本書は「オラシオン」という名のサラブレッドを巡る人々の物語である。普段競馬をしていなくとも、サラブレッドの血統から丁寧に記述されているので無理なく読めてそのまま物語の世界に引き込まれること間違いなし。「因縁」に翻弄される登場人物たち。病気や突然の死。これらのエピソードはどこかで読んだことがあると思ったが、「聖教新聞」に掲載される会員の体験談だと思い至りひとり納得する。