文を敲く

読書記録とその他雑記。

貨幣・デフレ・インフレ - 「貨幣論」

貨幣論 (ちくま学芸文庫)

貨幣論 (ちくま学芸文庫)

「貨幣とはいったい何なのか」という疑問について考察した一冊である。マルクスの「資本論」やケインズの議論を基に貨幣がどのような役割を果たしているのか綴られている。インフレとデフレが発生する仕組みについて「流動性選好」をキーワードに説明がされていて、興味深かった。

本書の執筆者が書いた文章は大学入試にもよく出題されるため、高校生でも読めないことは無い文章ではある。とはいえ「貨幣」と言う言葉が何度も何度も繰り返し出てくるので頭が痛くなる可能性も高い。

貨幣が今まで貨幣として使われてきたという事実によって、貨幣が今から無限の未来まで貨幣として使われることが期待され、貨幣が今から無限の未来まで貨幣として使われていくというこの機会によって、貨幣がじっさいに今ここで貨幣として使われる。(第五章 危機論)

最近はこのような回りくどい文体は嫌われがちだ。人によっては眠気を誘われると思うので、なかなか眠れない時に読んでみるのも悪くないのかもしれない。