文を敲く

読書記録とその他雑記。

削る大切さ - 「辞書を編む」

辞書を編む (光文社新書)

辞書を編む (光文社新書)

私も使用している「三省堂国語辞典」の編集者が書いた辞書についての新書だ。

辞書に載せるための言葉の見つけ方、見つけた言葉を辞書に載せるかどうかの取捨選択、そして定義の書き方と辞書が出来るまでの行程が一通り説明されている。時々挟まれる失敗談やこぼれ話(キャバクラという言葉の定義を書くためにわざわざキャバクラへ行こうとして揉めた話など)が面白い。辞書の編集者だけあって文章はすこぶる明快だ。

紙の辞書は紙面に限りがあるため、記述を短くしなければならない状況もあるという。ウィキペディアでは「萌え」の定義を何百文字も書き連ねているが、紙の辞書ではそうはいかない。「三省堂国語辞典」の「萌え」の定義はきわめて短い文章だが、かえって定義は明快になっている。文章を「削る」ことの大切さを改めて思い出したのだった。