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読書記録とその他雑記。

明治維新は複雑怪奇 -「夜明け前 第一部(下)」

夜明け前 第1部(下) (岩波文庫)

夜明け前 第1部(下) (岩波文庫)

明治維新」は冷静に考えてみれば不思議な政変である。倒幕派は「尊王攘夷」の旗印を掲げていたはずが「攘夷」は捨て去って「尊王」だけとなり、「尊王家」の将軍が「政権を返す」と宣言した後に将軍を引きずりおろす。もちろん本書の主人公にとっても理解に苦しむものだ。しかし「変化」への希望はそこにはある。

本作では主人公やその知人らがたびたび「芋焼餅」を食べる。文中おいしそうに記載されていて食欲がそそられて仕方がない。今でも馬籠に行けば売られているようなので、機会があれば現地に行って味わってみたい。