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批判 - 「国語教科書の思想」

国語教科書の思想 (ちくま新書)

国語教科書の思想 (ちくま新書)

日本で広く使われている国語教科書はどのような「思想」を伝えようとしているのかを徹底的に「批判」した本である。よくもまあここまで批判できるものだと感心せずにはいられない。

日本では「道徳」が省略されることが多かったため「国語」が「道徳」の代わりの科目として機能してきたという指摘が新鮮だった。いわれてみれば「ごんぎつね」も「蜘蛛の糸」も道徳的なエピソードだ。

そして「国語」という科目自体が存亡の危機に瀕しているという主張も興味深い。日本における文学部の地位低下とも関係しているのだろう。

自己言及になってしまうことを無視すれば、大学入試の問題におあつらえ向きの難易度だと思う。