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それでも中世は暗黒 - 「ローマ亡き後の地中海世界(1)」

ネットを巡回していると時折「ヨーロッパの中世は暗黒時代ではない」という論を見かけることもある。しかし地中海沿岸に関しては「暗黒時代」であったのではないかというのが著者の見方だ。

本書では東ローマ帝国は住民が海賊に拉致され奴隷として売り飛ばされていくことを止めることが出来なかったことなど数々の暗黒エピソードが述べられている。時節柄なんとなくソマリアの海賊や「イスラム国」を連想せずにはいられない。

もっとも著者はローマ帝国フリークとして有名なので、「ローマ帝国に比べたら云々」という部分が大きい面は意識しておく必要はあるだろう。