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読書記録とその他雑記。

定石 - 「氷山の南」

氷山の南

氷山の南

水資源入手の為にオーストラリアから南極へと向かう船に主人公の少年が乗り込み物語は幕を開ける。様々な出自や信仰を持つ登場人物が一つの船に乗り込み多文化共生的な雰囲気だ。しかし船中での会話はほぼすべて英語なのだと思うとハリウッドの吹き替え版映画を観ているような感覚もある。幕切れもハリウッド映画好みだと思う。

カンタベリー物語」のような場面もあれば青春小説的な主人公の成長や劇的なクライマックスもあり、世界文学全集を編んだ著者らしく物語の定石をおさえた作品だと感じた。