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読書記録とその他雑記。

雑感 「かぐや姫の物語」

ディズニーの長編映画は古典を原作としたものが多い。古くは「白雪姫」や「シンデレラ」、最近なら「塔の上のラプンツェル」も古くから親しまれている童話が原作だ。今年公開されたスタジオジブリの「かぐや姫の物語」も「竹取物語」という古典が原作だ。「なぜ今さらかぐや姫を」という声も少なくないみたいだが、ディズニーが好んで古典を題材にすることを考えれば特に違和感はない。

本作では「竹取物語」の筋書きはそのままに悲劇性が強調されている。知人は何度も泣いたという。とはいえ本作は泣けるだけの映画ではない。心にトゲが刺さる映画だ。とはいえ思わず笑ってしまう場面も少なくなかった。とりわけ天人の登場場面は一種のコントなのではないかと感じたほどだ。シリアスなクライマックスでアレをぶつけてくるのは流石だと思う。

ふと思ったが「竹取物語」をディズニーが映画化したらどうなるのだろうか。まず原作がハッピーエンドではないので結末に大きく手を加える必要がある。平民と恋に落ちて貴族や帝の求婚をはねのけ、ふたりで月へとハネムーンといったような結末になってしまいそうな気がする。「リトル・マーメイド」に比肩する原作改変になることはまず間違いない。

竹取物語をネタに使った映像作品と言えばこのCMも思いだす。「かぐや姫の生活は実は借金の上に成り立っているけど当人は踏み倒して月に帰ろうとするので債務整理をすすめる」という何とも身も蓋も無いストーリーだが、この解釈もあながち間違いではないと思う。