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ライトノベルの定義とは - 「ハルカ 天空の邪馬台国」

ハルカ 天空の邪馬台国

ハルカ 天空の邪馬台国

一見するとライトノベルでもよく見られるタイムトラベルもの*1であり表紙もライトノベル風だが、本書はライトノベルではない。まず第一に本書はライトノベルレーベルから刊行される文庫本ではなくソフトカバー単行本であり、辞書並みの厚さがあるのだ。重い。とはいえゲームのシナリオが土台だったためかサクサク読める。

また、一般的なライトノベルより性描写が生々しいと感じた。主人公とヒロインの熱い接吻に始まり、本番には至らないが前戯までしっかりとやってのけてしまう。同人誌的なノリの軽さを感じる。やはり一線を超えるとライトノベルのレーベルからは刊行できないのだろうか。

なお本書は伏線をいくつも放置したまま駆け足で結末を迎える。読者の不満に応えるためか続刊が刊行されているようだ。

(追記:ライトノベルの定義は現在に至るまで定まっていないが「果てしない性欲と控えめな性描写」という様式がある気もする。「フィクション性の高さ」もライトノベルの条件であるかもしれない。アニメ化や漫画化もされた「NHKにようこそ!」がスニーカー文庫ではなく角川文庫で出版されているのもこの作品が私小説に近いためだろう。)

*1:時間の流れ方はトムは真夜中の庭でに似ている