文を敲く

読書記録とその他雑記。

変わらないもの、変わるもの

僕って何 (河出文庫)

僕って何 (河出文庫)

この主人公は今風に言えば「引きこもりへの道を邁進するキョロ充」だ。最初から最後まで周囲の意向に流され続けている主人公の姿は喜劇的に語られてはいるが、胸に刺さる。周囲には流されるが、自分探しには流れない。

手元にある文庫初版の装丁は、タオルで顔を隠した運動家のイラストが目を引く。「2010年代にこの装丁では売れないだろう」と思っていたら、案の定新装版が出ていた。だが定価620円(税込)はちょっと高い気がする。